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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)762号 判決

本店所在地

東京都中野区本町四丁目二一番二号

株式会社 友藤総本社

右代表者代表取締役

友藤泰雄

本籍

東京都中野区本町四丁目五三番地五

住所

同都同区本町四丁目二一番二号

会社役員

友藤泰雄

大正五年八月六日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宮本喜光出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金三百万円に、被告人友藤泰雄を、懲役四月に、それぞれ処する。

ただし、被告人友藤泰雄に対し、本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。

事実

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社友藤総本社は、東京都中野区本町四丁目二一番二号に本店を置き、各種水槽類の製造販売等を目的とする資本金四、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人友藤泰雄は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人友藤は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四一年九月一日から昭和四二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四九、〇八八、九九九円あつたのにかかわらず、昭和四二年一〇月三一日東京都中野区中野四丁目九番地一五号所在中野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四、二四七、四六七円でこれに対する法人税額が四、四二四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の正規の法人税額一六、六〇五、六〇〇円と右申告税額との差額一二、一八一、四〇〇円を免れたものである。

(なお修正貸借対照表は別紙第一のとおりであり、税額計算書は別紙第二のとおりである。)

(証拠の標目)

一、 被告人の当公判廷における供述

一、 被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一三通

一、 上山輝一作成の戸籍謄本

一、 宮下巌之助作成の登記簿謄本

一、 証人清水恒治の当公判廷における供述及び同人作成の上申書(昭和四五年四月二五日付及び同年七月一三日付)

一、 友藤良子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一、 友藤利雄、能美亘之(昭和四五年六月一三日付)鈴木松治、福地輝衛の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、 松川繁夫、立岩啓一、高崎昭司、遠藤馨、木下一夫、清水宏一、長谷川武、佐藤昭平、各作成の「預金取引等内容について」と題する書面各一通

一、 石橋紀夫作成の「貸付信託、金銭信託取引内容について」と題する書面

一、 徳永進作成の証明書

一、 栗原英夫作成の定期預金調査書

一、 荒川浩平作成の未納事業税調査書

一、 長井久二作成の証明書

一、 押収してある次の証拠物(かつこ内はいずれも昭和四六年押第六一二号のうちの符号番号を示す)

自昭和四一年九月一日、至昭和四二年八月三一日、事業年度分確定申告書(1)一綴

自昭和四一年八月一日、至同年同月三一日、事業年度分修正申告書(2)一綴

元帳(資産、損益)(3、4、5)三綴(資産元帳二綴)、税金領収証書綴(6)一綴

江ケ崎工場関係請求書(7)一袋

請求書等(8)一袋

(弁護人の主張に対する判断)

弁護人は、起訴事業年度における定期預金の増加は前事業年度所得の繰越によるものであると主張するが、証拠を検討してみると右増加は普通預金、定期預金利子、簿外現金等を定期預金に預け入れたことによる増加で特に約一、〇〇〇万円は当期売上除外による簿外現金の定期預金預け入れと認められ弁護人の主張は理由がないから採用しない。

(法令の適用)

判示事実は被告会社につき法人税法第一六四条第一項第一五九条第一項第二項に、被告人友藤につき、同法第一五九条第一項にそれぞれ該当するところ、被告人友藤に対しては所定刑中懲役刑を選択し、それぞれ所定罰金額及び所定刑期の範囲内で被告会社を罰金三百万円に、被告人友藤を懲役四月に処する。被告人友藤については情状により本裁判確定の日より二年間右の刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 守谷芳)

別紙第一 修正貸借対照表

株式会社 友藤総本社 昭和42年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第二 税額計算書

株式会社 友藤総本社

〈省略〉

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